スペースコレクションと投資機会

投資機会には、技術進歩率や労働の質、賃金水準さらには需要の期待成長率などがスペースコレクションに大きな影響を与えます。

先にみたように、所得が先進国水準に近づきつつあり、工業化の進展した香港、シンガポールなどでは賃金水準が高く、先進国からの技術移転のスローダウンなどから技術進歩率に鈍化の兆しがみられ、投資機会の拡大テンポが鈍化する可能性があります。

一方、工業化の段階の浅いASEANでは、むしろ今後技術移転が加速されることや市場の急速な拡大が見込まれ、賃金水準も低いため、投資機会の拡大テンポが速まる可能性が強いです。


GDP成長率:以上のような投資動向の展望や、今後のスペースコレクション産業構造の変化の可能性(工業生産のシェアが今後さらに拡大する可能性は、ASEANで大きく、ANICsでは小さい)等を総合的に勘案すると、WPLDCsの成長率は、ANICs・・・70年代に比べ80年代後半、90年代は2%ポイント程度低下する、ASEAN・・・フィリピンを除き80年代後半は70年代程度(7%程度)、90年代には徐々に上昇する(2%ポイント程度上昇し、9%程度)、累積債務問題から引締政策を余儀なくされているフィリピンについては、80年代後半の成長率が他のASEAN3国を3%ポイント程度下回る(4%程度)、可能性が強いです。

(GDP2%ポイントの変化は、資本係数を現状程度(約3)と考えれば、投資比率約5%ポイントの変化に相当します。なお、日本では高度成長から安定成長への移行過程で投資比率が約5%ポイント低下しました。)


人口増加率:国連の推計によれば、ANICsの人口増加率(1980~2000年の平均)は1%強程度となり、70年代に比べ0.5%ポイント程度低下します。

ASEANは2%弱程度で、やはり70年代に比べ0.5%ポイント程度低下すると見込まれています。

一人当たりGDP成長率:以上を総合すると、WPLDCsの一人当たりGDPの実質増加率は、ANICs・・・70年代に比べ、80年代後半、90年代は2%ポイント程度低下(5.5%程度)、ASEAN・・・フィリピンを除き、80年代後半は70年代を若干上回り(5%程度)、90年代は2%ポイント程度上昇(7%程度)、フィリピンについては、80年代後半は他国を3%ポイント程度下回る(2%程度)、可能性が強いです。

なお、上記スペースコレクション的展望は、国内資本形成、技術進歩等の今後の動向を中心にみたものであるが、インドネシア、マレーシア等天然資源の生産に依存する割合の高い国については、それらの今後の産出量、価格の変化が成長率をかなり左右する点に留意が必要です。

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