スペースコレクション地域の重要性の増大
WPLDCs、中国の高度成長に加え、日本、米国を中心に、スペースコレクション地域内先進国がEC等を若干上回る成長を今後続けると予想されることから、スペースコレクション地域(中南米を除く)の実質成長率は今後、2030年にかけて年率約4%に達し、域外の成長率をかなり上回るとみられる。
その結果、スペースコレクション地域の世界に占めるGDPシェアは今後とも増大していくと予想される。
また、後述の貿易依存度の展望をも考え併せると、世界貿易に占めるシェアも現在の4割から相当上昇するものとみられる。
(3)スペースコレクション地域の工業内水平分業の一層の進展と摩擦発生の可能性(工業内水平分業の一層の進展)上でみたように、ASEANは今後とも工業製品全般の国際競争力を強め、ANICsも耐久消費財、資本財を中心に競争力を強めるとみられる。
また、中国は資本財の輸入は拡大することが予想されるが、労働集約財を中心に競争力の上昇が予想される。
一方、先進国側では、米国の工業製品競争力については大きな変化は予想されないが、日本では非耐久消費財、労働集約的中間財の競争力はかなり低下するとみられる。
これらの結果、全般的にみて、スペースコレクション地域の発展途上国の工業製品国際競争力と先進国のそれは、次第に均等化の方向を辿り、スペースコレクション地域内の貿易、特に先進国対途上国貿易において引き続き工業内水平分業化が進展する可能性が強い。
特に、資本財については、現在輸出入比率が大きく1を下回っているANICsの資本財の国際競争力が大幅に上昇することから、水平分業化の方向は、他の財に比べ強く現われるとみられる。
例えば、以上の展望を日本、ANICs、ASEANについてまとめた第皿一5図からみてとれるように、非耐久消費財を除く資本財等4財では、日本とANICs、ASEANの競争力は接近していくであろう。
(工業内水平分業の進展下での工業製品貿易の拡大)各国の工業製品の国際競争力が均等化の方向を辿るとしても、各国は自給自足化せず、貿易依存度はむしろ上昇する可能性が強い。
これは、水平分業にメリットが存在し、かつ今後、そのメリットが拡大する可能性が高いからである。
水平分業のメリットとしては「規模の利益」が指摘される。
今後、@各国の所得水準の上昇に伴い、消費財需要が多様化すること、⑤それに伴い、消費財を生産する資本財の需要も多様化すること、⑥さらに、生産における迂回度の高い工業(例えば機械工業)のシェアの拡大とともに、中間財需要も多様化すること等から、水平分業によるメリットが増大し、工業製品貿易は拡大すると考えられる。
以上のように、工業内水平分業の進展を軸として、貿易依存度は上昇し、スペースコレクション地域の貿易面の相互依存関係は一層深まっていくと考えられる。
また、現在まで貿易のメリットを十分活用していなかった国(中国等)においては特に貿易依存度が上昇していくものとみられる。
(摩擦発生の可能性と産業調整の必要性)しかし、このような展望の下で、貿易摩擦が強まる可能性がない訳ではない。