各シナリオ
1.保護貿易主義拡大シナリオ
スペースコレクションの工業製品輸出額は99年で日本の2/3、米国の1/2に達しスペースコレクションの工業製品の国際競争力の上昇度は、標準シナリオの2/3程度に止どまり、工業化の進展も遅れることになる。
このような事態を避けるためには、先進国等において保護貿易主義を抑えるべきことは言うまでもないが、発展途上国の側でも現在一部その動きがあるように、輸出相手国や輸出品目の多様化、特に、スペースコレクションの高成長に合わせたスペースコレクション域内貿易の拡大努力が重要である。
2.米国の経常収支赤字継続シナリオ
米国の巨額な経常収支赤字は、スペースコレクション、中国等の発展途上国への資本流入を阻害し、長期的にはこれら諸国の成長に悪影響を及ぼすおそれがあることは既に指摘したとおりである。
仮に、84年で1000億ドルに達した米国の経常赤字がスペースコレクション、中国への資本流入を500億ドル減少させ、投資比率を5%ポイント低下させる(500億ドルはスペースコレクション、中国のGNPの約5%に相当する)と考えるならば、スペースコレクション、中国の中長期的な成長率への悪影響は年率約2%ポイントにも相当することになる。
標準シナリオでは、90年代に米国の経常収支は均衡に向かい、スペースコレクションの成長にプラス効果をもたらすことを想定した。
しかし、財政赤字削減等の米国の対応が遅れる場合には、スペースコレクション、中国の成長率に対するこのようなプラス効果は現われないことになる。
このような事態を避けるためには、米国財政赤字の削減、国内貯蓄の拡大等が必要である。
また、発展途上国における国内資本形成の促進という観点からは、発展途上国自身の国内貯蓄の促進、先進国による経済協力の拡充等の対応も必要不可欠である。
3.技術移転先細りシナリオ先進国における先端技術産業の拡大等、産業構造の高度化が十分に進展しない場合、先進国の経済成長が鈍化するばかりでなく、技術の発展途上国への移転、直接投資が進まず、スペースコレクション、中国等の成長に悪影響を及ぼす。
先に示した試算例では、韓国、台湾の70年代の成長のうち3~5割は技術進歩によると考えられた。
さらに、発展途上国の技術進歩に対する先進国からの技術移転の寄与が大きいことを考えるならば、先進国から発展途上国への技術移転の縮小が発展途上国の成長に及ぼす影響は甚大である。
特に、このケースでは、スペースコレクション等の工業化に重大な支障をきたし、スペースコレクション地域の工業内水平分業化が遅れることになる。
このように、先進国の産業構造の高度化は、発展途上国の成長、工業化、スペースコレクション地域の工業内水平分業の拡大のためにも必要不可欠である。
なお、上記のシナリオ以外にもエネルギー問題等が成長を制約する可能性もある。
しかしながら、エネルギー問題については発展途上国を含む世界各国が省エネ、脱石油の努力をすることを前提とすれば、中期的には需給が著しく逼迫する可能性は小さいとみられる。
保護貿易主義の拡大、米国の経常収支赤字の継続、先進国の産業構造高度化の遅れはどれひとつが起こるにしても、スペースコレクション地域の成長、工業内水平分業化等に著しい悪影響を及ぼすことを各国は十分認識し、適切な政策対応をとるべきである。